副鼻腔炎とは
顔の内側の空洞である副鼻腔に炎症が起こっている病気です。慢性副鼻腔炎になると一般的に「蓄膿症」と呼ばれます。副鼻腔とは、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4つの空洞を指し、これらはすべて鼻腔と細い管状の通路で繋がっています。副鼻腔炎の原因には、副鼻腔の細菌感染、真菌(カビ)の影響、虫歯からの炎症の広がりなどがあります。
急性副鼻腔炎
副鼻腔炎のうち、発症から4週間以内のものを急性副鼻腔炎といいます。急性副鼻腔炎のほとんどは、副鼻腔の細菌感染を伴う風邪の合併症として発症しますが、近年はアレルギー性鼻炎の合併症として発症するケースが増えています。アレルギー性鼻炎の患者様の約40%が副鼻腔炎を併発しているといわれており、花粉の季節が終わっても鼻の症状が続くと思ったら、実は副鼻腔炎になっていたという例も少なくありません。さらに、副鼻腔に炎症が起こると、鼻と耳をつなぐ耳管の入り口が塞がれて、耳閉感が生じたり、そこから感染が拡がって中耳炎に進行したりします。まれに副鼻腔の炎症が目や脳にまで広がり、視力障害や意識障害を引き起こすこともあります。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が治癒せずに症状が慢性化した状態です。一般的に、2~3ヶ月以上症状が続く場合に慢性副鼻腔炎と診断されます。
副鼻腔炎の症状
- 咳や痰
- 鼻づまり
- 黄色い鼻水
- 悪臭を伴う鼻水
- 口呼吸
- 額・目の奥・頬などの顔面痛
- 鼻水がのどに垂れる(後鼻漏:こうびろう)
- においを感じにくくなる(嗅覚障害)
- 鼻茸と呼ばれるポリープ状の膨らみ(慢性副鼻腔炎で多い)
上記のような症状がある場合は副鼻腔炎が疑われますので、早めに医師の診察を受けてください。
なお、慢性副鼻腔炎と急性副鼻腔炎の症状は同じですが、炎症が長引くことで副鼻腔内の粘膜がひどく腫れるようになり、鼻腔内に鼻茸と呼ばれるポリープ状の膨らみが増殖して、鼻づまりが悪化することもあります。また、この鼻茸は嗅覚障害の原因となることもあります。
副鼻腔炎の検査と診断
極細の内視鏡を用いて鼻腔形態、ポリープの有無、鼻水の流出部位などを詳細に観察します。中には鼻腔内にほとんど異常所見がない場合もありますので、レントゲンやCTなどの画像診断も重要になります。CTは副鼻腔や篩骨洞の粘膜肥厚の有無、病変の部位や範囲、骨の構造などを正確に調べるのに適しています。また、鼻づまりの程度を客観的に診断するために鼻腔通気度検査も行っています。
検査と診断結果のために別の日を設ける必要がありませんので、ご多忙な方もぜひお気軽にご相談ください。
副鼻腔炎の治療方法
急性副鼻腔炎の治療
1週間程度、抗生物質と消炎鎮痛剤を服用する薬物療法を行います。鼻づまりなどのつらい症状を緩和するために、膿を吸引して鼻腔内をきれいにする処置を行い、細かい粒子の薬剤をネブライザーで副鼻腔の隅々まで届ける治療も行います。
慢性副鼻腔炎の治療
急性副鼻腔炎の治療に加え、数ヶ月間マクロライド系抗生物質を投与し、粘膜の機能を正常化させます。少量で効果があるため、症状が軽い場合はマクロライド系抗生物質のみで完治が目指せます。お薬での改善が見られない場合は、手術を検討します。
手術療法
ESS内視鏡下副鼻腔手術、骨の構造に問題がある場合は内視鏡下副鼻内整復術、難治性前頭洞炎の場合には拡大前頭洞手術を検討します。また、内視鏡を用いた手術として鼻涙管閉塞症に対する涙嚢鼻腔吻合術があります。
なお、手術が必要な場合は、連携医療機関を紹介いたします。
子どもの
副鼻腔炎について
子どもは顔の骨の成長に伴う副鼻腔の構造的な特徴から、副鼻腔炎を発症しやすい一方で、回復も早く、手術治療が必要になることはほとんどありません。ただし、副鼻腔炎は急性中耳炎や滲出性中耳炎になりやすいため注意が必要です。また、鼻づまりは、いびきや口呼吸の原因にもなるため、早めに治療することが大切です。