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花粉症

Hay fever

花粉症とは

花粉症とはスギ、ヒノキ、ブタクサなどの特定の植物の花粉が原因で起こるアレルギー性鼻炎です。東京都では、都内の花粉症の推定有病数や花粉症の方が予防・治療のためにどのような情報を求めているかなどを把握するため、花粉症患者様を対象に定期的な調査を実施しています。東京都花粉症患者実態調査報告書(2018年)によると、2017年に実施された第4回調査では、都内におけるスギ花粉症の有病率は48.8%と報告されており、ほぼ半数がスギ花粉症であることが分かりました。スギ花粉症の推定有病率は、第1回調査(1983年)では10.0%、第2回調査(1996年)では19.4%、第3回調査(2006年)では28.2%と、大幅な増加傾向が示されました。また、第4回調査(2017年)の結果では、子どもや高齢者の発症率も増加していることが報告されています。

花粉症の症状

花粉症の4大症状

  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 眼の痒み

くしゃみ

花粉の飛散量が多いと、鼻が常にムズムズと刺激され、くしゃみの連発を繰り返すことになります。風邪によるくしゃみは通常、1週間ほどで自然に治りますが、花粉症によるクシャミは花粉の飛散時期を通して続きます。

鼻水

透明で水のようなサラサラした鼻水です。鼻水が出るまで気づかず、突然鼻から垂れ始めることがあります。

鼻づまり

日中は鼻をかむことで鼻づまりを回避できますが、眠ってしまうと鼻をかむことができないため、ひどい鼻づまりになることがあります。鼻が詰まると呼吸が苦しくなり、目が覚めてしまうこともあります。また、睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力の低下に繋がることもあります。

眼の痒み

花粉が目に入り、目を刺激して強い痒みを感じる、あるいは涙の分泌量が増えることなどがよくあります。

その他の症状

花粉が喉に入ると、乾いた咳が続き、悪化すると気管支の腫れや痛み、息苦しさを引き起こすこともあります。
また、皮膚に痒みや湿疹、肌荒れなどの症状が出たり、耳に入って耳の痒みや微熱、全身の倦怠感などが現れたりすることもあります。

花粉症の原因となる植物

ヒノキ科(スギ、ヒノキなど)

日本では、花粉症の約80%がスギ花粉によるものです。スギ花粉の飛散時期は地域や年によって異なりますが、九州では例年2月上旬、関東では2月中旬、東北では3月上旬からが飛散開始の基準となっています。花粉の飛散量は天候に大きく影響され、晴れて乾燥していると多く、雨が降ると少なくなります。ヒノキの花粉はスギより約1.5ヶ月遅れて飛び始めます。また、スギとヒノキの両方にアレルギーを持つ方や、ヒノキ科以外の植物にもアレルギーを持つ方など、複数の花粉症を併発するケースもあります。

カバノキ科(シラカバ、ハンノキ、ヤシャブシ)

北海道ではスギが少ないためスギ花粉症は少ないですが、カバノキ科の花粉症は多く、4月~6月にかけて北海道で花粉症症状が出た場合はカバノキ科の花粉症を疑います。近畿地方ではハンノキが多いので、1月~4月にかけて花粉症症状が出た場合にはハンノキ花粉症が疑われます。

イネ科

イネ科の花粉症も比較的多く、空き地や河川敷などに生えているカモガヤがその代表的な例です。初夏から夏(5月~8月)にかけて症状が出る場合は、カモガヤの花粉症が疑われます。

その他(ブタクサやヨモギなど)

ブタクサは北米からの帰化植物で、空き地などに自生し、8月~9月にかけて花粉を飛散させ花粉症の原因となります。また、昔から日本にあるヨモギも、ブタクサより半月ほど遅れて花粉を飛散させるため、花粉症の原因となる植物です。東京ではブタクサ、ヨモギともに減少しており、ブタクサとヨモギによる花粉症も減少していることがわかっています。

花粉症の検査

内視鏡検査

極細の内視鏡を鼻の穴に挿入し、鼻粘膜の腫れやつまりなどの有無を詳しく調べ、アレルギーの重症度を評価します。正確な病状評価ができ、より適切な治療が可能になります。

血液検査

血液検査によって、原因となっているアレルゲンを特定します。スギやヒノキの花粉に対するIgE抗体価を測定することも可能です。

皮膚テスト

皮膚に小さな傷をつけてアレルゲンを含む液を傷口にたらし、腫れが出るかどうかを調べます。この検査により、アレルゲンによって実際に体内でアレルギー反応が起こっているかどうかが確認できます。

花粉症の治療

薬物療法

花粉症の最も基本的な治療法です。使用される薬にはさまざまな効果や作用があり、症状や生活スタイルなどに応じてきめ細かく処方できます。

初期治療

花粉の飛散時期が始まる前に治療を開始すれば、飛散時期に鼻粘膜が過敏に反応しなくなる可能性が高くなります。そのため飛散時期には花粉症の症状が軽くなり、症状を抑えやすくなる効果が望めます。初期治療をご希望の方は、お早めにご来院ください。

免疫療法

スギ花粉の抗原を、少量ずつ体内に入れて徐々に体質改善を目指していく治療法です。長期間の治療を継続する必要がありますが、高い効果が期待できます。ただし、あまり改善が見られない可能性もあります。日本では2014年から、安全性が高く、手軽な舌下免疫療法が導入されています。

重症花粉症に対する注射治療
(抗IgE抗体ゾレア®の皮下注射)

スギ花粉症の症状が内服薬や点鼻薬、点眼薬で改善しない重症の患者様に対する治療です。月に1~2回の皮下注射で症状が大きく改善します。12歳以上の患者様が対象で、治療開始までに何度か通院する必要があります。また、スギ特異的IgEがクラス3以上、総IgEが30~1500IU/mlであることが血液検査で示されている患者様が適応となります。投与量や投与間隔は、体重や総血清IgE値によって決定されます。

レーザー治療

鼻の内部に低出力レーザー光線を照射することで、鼻粘膜の炎症を和らげる治療法です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー症状を緩和させることによって生活の質が大きく改善できます。3~4回の通院が必要ですが、約2年間は効果が続きます。

日常生活でできる症状の予防

アレルゲンである花粉に晒される機会を減らすことができれば、症状の軽減が期待できます。薬物療法だけでなく、日常生活の環境を工夫することも症状の軽減に繋がります。

外出時

晴天時には空気中に飛散する花粉の量が格段に多くなり、正午~午後3時頃にかけて飛散量のピークとなります。晴れた日には、その時間帯は外出を避けるようにしましょう。

外出時には、マスク、眼鏡、帽子、花粉を払い落としやすい素材のコートを着用することで、花粉との接触を減らす効果があります。

帰宅時

玄関に入る前に帽子や上着等についた花粉を払い落とし、家の中に入る際には帽子や上着類を脱ぎましょう。リビングや寝室など、滞在する時間が長い場所に花粉を持ち込まないことが大切ですので、コートや帽子は袋などに入れ、玄関先にしまってください。

洗濯後の干し方

花粉の季節には、洗濯物や布団を外に干さず、乾燥機を使用しましょう。もし外に干す場合は、花粉を落とすために、洗濯物をよく振ってから家の中に取り込み、その後すぐ室内に掃除機をかけましょう。

換気の方法

晴れた日の日中は、窓を開けて部屋を換気することは避けましょう。また、部屋の換気口にフィルターを取り付け、空気清浄機をかけるなどして、部屋の中の花粉をなるべく減らしましょう。

掃除の方法

花粉はとても軽いため、空気中に舞い上がりやすく、長時間漂うことがあります。掃除機をかける前に、湿らせた布で軽く拭き掃除をしてください。カーテンや布製ソファの花粉を除去するために掃除機をかけましょう。

マスクの着用

花粉が鼻に入ってくる量を減らし、鼻の湿度を保つことで症状を緩和する効果が期待できます。隙間ができないようにマスクをしっかりと顔に密着させることが大切です。

生活習慣の改善

体調の影響で、アレルギー症状の重さが左右されることもあります。自律神経のバランスを整えるためにも、十分な睡眠や休息をとるようにしましょう。また、朝に太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、1日の生活リズムを整えることができます。食事は栄養バランスに気を付け、辛い食べ物やアルコールの摂り過ぎ、タバコの吸いすぎに注意しましょう。軽い有酸素運動を習慣づけることも、血行や代謝の改善に効果的です。