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性病(性感染症)

Venereal disease

性感染症(STD)について

性感染症(STD)について性交渉によって感染する病気は、まとめて性感染症(STD)と呼ばれ、淋病、クラミジア、性器ヘルペスなど、様々なものがあります。
性感染症にかかるのはごく一部の方々だけだと誤解されることも多いですが、性交渉の経験があれば誰でも性感染症にかかるリスクがあります。
性感染症の患者数は増加傾向にあり、注意が必要です。

性感染症の症状

おりものの色やにおい、形状が変化することがあります。性器に発疹や痒みがある場合も、性感染症の可能性があります。
多くの場合、性感染症はほとんど自覚症状がありませんが、男性にのみ症状が現れ、女性には症状が現れないものもあります。感染に気づかず治療を受けないでいると、胎児への母子感染や不妊の原因となる恐れがあります。

性感染症の原因

性感染症はウイルスや細菌によって引き起こされます。1回の性交渉で性感染症に感染することも珍しくありません。
通常の性交渉のほか、アナルセックスやオーラルセックスでも感染する場合があります。

代表的な性感染症

代表的な性感染症としては、淋病、クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、トリコモナス症などが挙げられます。
これらの病気は早期治療が重要であり、完全に治るまで治療を続けることが大切です。
なお、性器ヘルペスと尖圭コンジローマは内科ではなく、皮膚科で治療します。

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされます。この細菌は、目の病気であるトラコーマの原因でもあります。
性交渉によって膣から子宮に感染するほか、オーラルセックスによってのどに感染し、のどの炎症を引き起こすこともあります。

症状

感染から発症までの潜伏期間は3日~1週間程度です。
症状としては、下腹部痛、右側の上腹部痛、おりものの増加、不正出血などがあります。
ただし、感染者の80%以上は自覚症状が現れないといわれています。
自覚症状がないまま病状が進むと、骨盤内炎症性疾患や卵管炎を引き起こし、子宮外妊娠や不妊症になる可能性もあります。
分娩間近まで感染が発見されなかった場合は、胎児が子宮内で母子感染を起こし、肺炎や結膜炎になるリスクが高まります。

検査と治療

膣や子宮からのおりものを採取し、PCR検査と必要に応じて血液検査を行います。
治療には、1回の服用で感染症を治すことができる抗菌薬を服用し、回復には1~2週間かかります。
感染がのどにある場合にも、抗菌薬での治療が可能です。
治療の効果は約3週間で現れます。1回の治療で十分な効果が得られない場合は、追加の治療が必要になります。

淋病

原因となる細菌は淋菌で、性交渉、キス、オーラルセックスによって感染する病気です。
ほとんどの男性は排尿時の激しい痛みなどの症状が現れますが、女性は自覚症状がない場合もあるため注意が必要です。

症状

感染から発症までの潜伏期間は通常2日~1週間とされています。
男性の場合は排尿時の激しい痛みや膿、尿道口のただれなどの症状が現れるため、感染に気づきやすいといわれています。
一方、女性の場合は外陰部の痒みや腫れ、黄色いおりものなどの症状が現れることがありますが、自覚症状がほとんどない場合もあります。
ご自分には自覚症状がなくてもパートナーに症状がある場合は、感染している可能性があります。必ず検査を受けるようにしましょう。
淋病が進行すると、子宮内膜炎、淋菌性膣炎、卵管炎などを発症することがあります。
そして激しい腹痛が起こり、そこで初めて感染に気づくケースもあります。
また、淋病は子宮外妊娠や不妊の原因となることもあるため、早期に治療を開始することも重要です。淋菌がのどに感染すると、咽頭炎を引き起こすことがあります。

検査と治療

おりものからサンプルを採取し、淋菌の有無を検査します。
治療には、点滴または注射による抗菌薬の投与があります。感染症が必ずしもすぐに完治するとは限らないため、きちんと完治していることを確認することが重要です。

性器ヘルペス

口や目以外に、ヘルペスは性器にも感染します。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる性器の感染症です。多くの場合、性的接触によって感染するため、性感染症の一種とされています。
症状が治まった後もヘルペスウイルスは体内に潜み続けるため、免疫力が低下すると再発する恐れがあります。また、出産時に性器ヘルペスを発症していると、産道を通じて胎内の赤ちゃんに母子感染する恐れがあります。
近年、20代での性器ヘルペスの発症例が増加傾向にあるといわれています。

症状

感染後、3日~1週間の潜伏期間を経て発症します。
症状は倦怠感や発熱で、やがて米粒大の水疱が出現します。
男性では包皮や亀頭に、女性では膣や外陰部に水疱が現れます。水疱が破れると潰瘍となり、炎症の刺激により痛みが起こります。
通常、最も症状が重いのは、初めて感染したときです。その場合、排尿時の激しい痛み、頭痛、発熱、ヘルペス脳炎などが現れ、入院が必要になることもあります。しかし、再発した場合は、初めて感染したときよりも症状は軽くなります。

検査と治療

婦人科での診断は、内診によって潰瘍や水疱の状態を確認することで可能です。
しかし、他の病気の可能性がある場合には、より正確な診断を行うために血液検査を行うこともあります。
抗ウイルス薬の内服薬や軟膏、注射などを用いて症状を緩和する治療を行います。
ウイルスを完全に排除することは難しく、潜伏しているウイルスにより再発を繰り返す可能性があります。
再発を繰り返す場合は、持続的に治療を続ける場合と、再発時すぐに服用できる飲み薬を処方する場合があります。

尖圭コンジローマ

発症の原因とされるウイルスはヒトパピローマウイルスです。
低リスク型ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる病気で、子宮頸がんの原因となる高リスク型とは異なります。

症状

潜伏期間には個人差がありますが、多くの場合、感染後2~3ヶ月で症状が現れます。
肛門周辺や外陰部に弾力性のあるイボが現れ、徐々に増えて大きな固まりとなり、鶏のとさかやカリフラワーのような形状になることもあります。また、ヒリヒリと灼けるような感覚、痒み、性交時の痛み、ほてりなどを伴うこともあります。

検査と治療

診断は、イボ状の独特な増殖物の有無を確認することで行います。必要に応じて、イボを切除して病理検査に出すこともあります。
数が少ない場合や小さい場合には、ドライアイスで凍らせたり、軟膏を使用したりすることが治療に有効な場合があります。
数や大きさによっては、電気メスやレーザーを使用した治療や、イボを切除する手術が必要になることもあります。
完全に治るまでには長い時間がかかることもありますが、あきらめず継続して治療することが大切です。
※当院では軟膏治療と外来切除が可能な治療のみに対応しており、電気メスによる手術やレーザー治療は行っておりませんのでご了承ください。

梅毒

トレポネーマが原因菌となる病気です。抗生物質による有効な治療法が確立されてからは、日本での患者数は減少していましたが、近年再び増加傾向にあります。
梅毒は、基本的にはキスや性交渉によって感染し、粘膜や皮膚の微細な傷から感染する病気です。ただし、母子感染によって胎内の赤ちゃんにも感染します。

症状

潜伏期間は10日~90日と長く、感染後、約3週間で発症するといわれています。
病気は大きく4つの段階に分けられ、それぞれの段階で典型的な症状が現れます。
現在では、第2期で発見され、適切な治療が行われれば完治する病気です。
また、第2期以前に治療を開始することが多いため、第3期以降の症状が確認されるケースはほとんどありません。

第1期

感染後3週間ほどで、感染部位に硬いしこり(初期硬結)ができます。
数日後にはしこりの周囲が腫れて全体に硬くなり、中央に潰瘍ができます。
この潰瘍を「硬性下疳」といいます。痛みはなく、数週間で消えますが、数ヶ月間は傷跡が残ります。

第2期

感染の3ヶ月後、梅毒の症状が感染部位から広がり、全身に丘疹やバラ色丘疹(淡いピンク色やピンク色の発疹)が現れます。
また、脱毛が部分的に起こる梅毒性脱毛症になる場合もあり、数週間~数ヶ月続きます。

第3期

感染後2~3年経過すると、内臓、筋肉、骨などに「ゴム腫」と呼ばれる結節ができ、徐々に大きくなっていきます。

第4期

染後10年以上経過すると、中枢神経や心血管が侵され、命に関わる場合もあります。

検査と治療

感染は血液検査で確認できますが、感染後6~8週間未満の場合は正しい検査結果が得られない場合があります。
そのため、第1段階の症状が見られた場合は再検査になる可能性もあります。
注射や内服の抗菌薬で完治が可能です。パートナーの方も検査を受け、完全に治るまで治療することが大切です。

エイズ(HIV)

エイズ(後天性免疫不全症候群)とは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染して免疫機能が低下し、特定の23種の病気のうち、いずれかが発症する病気です。
HIVに感染すると、他の感染症にかかりやすくなりますが、23の病気にかかっていなければ、エイズではありません。

感染経路

感染経路は、性交渉、母子感染、血液感染です。
母子感染は出産時だけでなく、授乳によっても起こるといわれています。

症状

約2週間の潜伏期間を経て、筋肉痛、発熱、リンパ節の腫れや痛み、倦怠感、湿疹などの症状が現れます。
これらの症状は数週間で消え、無症候期に入ります。症状が出ない場合もあります。

無症候期

初期症状が数週間以内に消失した後、無症状期間が数年~10年間続きます。
この間、HIVは増殖していても免疫システムが症状を抑え、自覚症状は出ません。

発症期

23種類の特定の病気のうち、いずれかが発症すると、エイズと診断されます。

検査と治療

HIV抗体スクリーニング検査を行います。感染後3ヶ月以上経過していれば検査結果は正確なものが得られます。
ただし、感染直後に検査を行うと正確な結果が出ない可能性があるため、再検査が必要になることがあります。
HIV抗体スクリーニング検査と追加確認検査の両方が陽性であれば、HIV感染症の診断は確定となります。
HIVを完全に治すことはできませんが、長期間にわたってエイズの発症を抑える治療を受けることができます。
医師の指示に従って、抗HIV薬による治療を正しく続けることが重要です。エイズを発症しても、すぐに免疫不全になるわけではありません。専門家の治療を受けながら、長い期間、病状を安定させることができます。

性感染症の検査と治療

診断は血液検査やおりもの採取で行います。治療は病気の種類によって、膣錠や内服薬、軟膏などを用いて行います。
性感染症の中には治っても再発を繰り返すものや、治療が困難な病気もあり、治療には2週間~数ヶ月かかることもあります。
医師の指導のもと、適切な治療を受けてください。また、ご自身が性感染症にかかっていることが分かったら、パートナーにも検査や治療を受けるように伝えましょう。お一人が完治しても、もうお一人が治療を受けないと何度も再感染を繰り返してしまいます。また、完全に治るまで性交渉は控えてください。

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