脂質異常症とは
血液中の脂質が
異常値を示す状態

血液中の脂質(HDLコレステロール:善玉コレステロール、LDLコレステロール:悪玉コレステロール、トリグリセリド:中性脂肪)の値が異常になる病気を「脂質異常症」といいます。
暴飲暴食、運動不足、肥満といった生活習慣の乱れは、その他の生活習慣病と同様に動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な病気に繋がる原因となります。
症状はありません。
しかし、動脈硬化を進行させます
脂質異常症の場合、それ自体に顕著な自覚症状は現れませんが、動脈硬化に進行するリスクが上がります。また、血流の異常により様々な症状が現れることがあります。
例えば、脳の血管に動脈硬化が起こると、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症といった重篤な病気を引き起こすリスクが上がります。自覚症状がなくても油断せずにきちんと検査をうけ、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
原因のほとんどは
生活習慣の乱れ
ほとんどの症例は不規則な生活習慣が原因で起こります。例えば、暴飲暴食、運動不足、肥満、塩分の摂りすぎなどです。
その他、更年期症状、遺伝的要因、薬の副作用などが原因となることもあります。
診断には、血液検査でHDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪の値を調べる必要があります。
脂質異常症の診断基準
脂質異常症を診断するための検査では、血液検査でHDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪(中性脂肪)の数値を調べます。それぞれに基準値が定められており、診断できる病気の種類も異なります。
LDLコレステロール
(悪玉コレステロール)
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の数値が高いと、動脈硬化の発症リスクが高くなります。
基準値
120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 |
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140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
HDLコレステロール
(善玉コレステロール)
HDLコレステロール(善玉コレステロール)の数値が低いと、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などを発症する恐れがあります
基準値
40 mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
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中性脂肪(トリグリセライド)
中性脂肪(トリグリセライド)はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加と相関関係があります。中性脂肪の値が高いと心臓病や脳卒中のリスクが高まるだけでなく、膵炎のリスクも高まることが分かっています。
基準値
150 mg/dL以上(空腹時採血) | 高トリグリセライド血症 |
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175mg/dL以上(随時採血) | 高トリグリセライド血症 |
脂質異常症の治療
生活習慣の改善が大事

患者様によって病気になるリスクが異なりますので、それぞれの患者様に適した目標脂質値を考え、生活習慣の見直しを行っていきます。
運動療法や食事療法に加え、減量や禁酒・禁煙などの問題にも注意する必要があります。一朝一夕で改善できるものではありませんので、患者様それぞれの生活習慣を考慮し、無理のないペースで生活習慣の改善をサポートしていきます。
生活習慣の見直しだけでは十分な効果が得られない場合は、薬による治療も並行して行います。生活習慣の見直しが治療の基本方針であり、薬による治療を行わなくても脂質値が正常化する方も多くいらっしゃいますので、ご安心ください。
また、生活習慣の改善によって、脂質異常症だけでなく、糖尿病や高血圧症などその他の生活習慣病の治療にも効果が見込めます。