蕁麻疹(じんましん)とは
蕁麻疹は、浮腫を伴った皮疹(膨疹)です。主な症状は、身体の一部や全身、粘膜に現れる赤みや痒みで、ほとんどの場合は突然症状が現れ、24時間以内に自然消失します。発症の原因には様々なケースがあり、複数の要因が複合的に関与することで引き起こされることもありますが、多くが精査しても原因不明であることも知られています。
蕁麻疹は、特発性蕁麻疹、刺激誘発型蕁麻疹、血管性浮腫、蕁麻疹関連疾患の4つのタイプに分類されます。特に多く見られるのは特発性蕁麻疹、刺激誘発型蕁麻疹、血管性浮腫の3種類で、蕁麻疹関連疾患は比較的稀です。
1.特発性蕁麻疹
特発性蕁麻疹は、4つのタイプの中では最も多く見られますが、原因がわからないことが多いことが知られています。発症しては自然消失を連日繰り返す特徴があります。発症して6週間以内に治まるものを急性蕁麻疹、それ以上続くものを慢性蕁麻疹といいます。
急性蕁麻疹の原因はl食べ物や過度なストレスの蓄積、感染症などがあります。慢性蕁麻疹の原因は、はっきりと分からないケースが少なくありません。急性蕁麻疹は1ヶ月以内に症状が改善することが期待できますが、慢性蕁麻疹は改善するまで数年かかる例もあります。
2.刺激誘発型蕁麻疹
刺激誘発型蕁麻疹は、アレルゲンに触れるなど特定の刺激によって発生する蕁麻疹です。刺激を受けるたびに何度も症状を繰り返します。この刺激誘発型蕁麻疹は、アレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹の2種類に分類されます。
アレルギー性蕁麻疹
アレルギー性蕁麻疹は、特定のアレルゲンに接触することによって引き起こされます。
主なアレルゲンとして、卵、乳製品、魚介類、ナッツなどの食品、花粉、ダニ、ペットの毛、薬剤、昆虫などが挙げられます。また、食事後に口腔粘膜に蕁麻疹症状が発生する例ものをは口腔アレルギーといい、この症状はラテックスアレルギーと関係していることもあります。
アレルギー性蕁麻疹は一般的に、接触後数分〜数時間で発生し、その後自然に消失します。稀に呼吸困難や血圧低下、意識障害などの重篤な症状を伴うアナフィラキシーショックを起こす場合があります。食事と運動の組み合わせに発生するアナフィラキシーを食物依存性運動誘発アナフィラキシーといい、食後2~3時間以内に運動することで引き起こされる傾向があります。またこの場合、非ステロイド系消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)を服用すると更に症状の悪化を招く恐れがあるため、注意が必要です。
非アレルギー性蕁麻疹
非アレルギー性蕁麻疹とは、明確な原因が分からない状態で発生する刺激誘発型蕁麻疹です。とはいえ、様々な原因刺激が知られており、それぞれの原因により次のような分類があります。外的刺激の圧迫による機械性蕁麻疹、冷却による寒冷蕁麻疹、可視光線による日光蕁麻疹、温熱による温熱蕁麻疹、圧力により症状が長時間持続する遅延性圧蕁麻疹、水による水蕁麻疹など。
他には、サバ・たけのこなどの食品やストレス、造影剤などの影響も想定される場合があり、いずれにしても明確が原因の特定が難しいことが少なくありません。
3.血管性浮腫
血管性浮腫は、通常の蕁麻疹と異なり皮膚の深い部分に生じる浮腫です。特定の皮膚や粘膜上に発生し、数日以内に自然消失することが多い特徴があります。
原因物質がはっきりしない突発性蕁麻疹と呼ばれるものやl原因物質がある程度特定可能な刺激誘発型蕁麻疹の他、ブラジキニンによってひきおこされるものl遺伝性のものなど様々な機序が知られています。
蕁麻疹の検査
アレルギー性蕁麻疹では、発生の原因となっているアレルゲンの特定が重要です。そのため、血清IgE結合試験を行うことがあります。また必要に応じて皮内テスト、プリックテスト、スクラッチテストなども実施します。
また、アレルギー性蕁麻疹が長期間に渡って発生している場合には、膠原病などの基礎疾患が関与している可能性もあり、その場合さらに詳しい検査を実施することがあります。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹の主な治療は、症状を改善させるための対症療法と、蕁麻疹を引き起こしている原因の除去や回避の二本立てです。対症療法では主に抗ヒスタミン薬を使用し、赤みや痒みなどの症状を緩和します。ただし、症状が重い場合は、ステロイド薬やエピネフリン注射が必要になることがあります。
蕁麻疹の治療の注意点
蕁麻疹の治療や根治には専門的な医療知識や経験が必要となります。そのため、発生が頻発している場合や原因が分からない場合には、自己判断で対処せずに当院までご相談ください。